
大阪府ミシン商業協同組合様が主催する「ASM OSAKA」。工業用縫製機器を中心に、関連設備やサービスが集まる展示会として長く開催されてきたイベントです。
リニューアル前のサイトにも、開催概要、出展社情報、イベント、アクセスなど、展示会に必要な情報はすでに多く掲載されていました。
一方で、情報が充実しているからこそ、出展を検討している企業と、来場を検討している方が、それぞれ自分に必要な情報へ迷わず進める構造には改善の余地がありました。
今回のリニューアルで重視したのは、単に見た目を新しくすることではありません。出展者には「出展する理由」を。来場者には「行く理由」を。
ご相談いただいた時点で、今回の展示会の出展者募集開始まで、すでに3か月を切っていました。限られた期間で必要な改善を進めるため、トップページのリニューアルと、「出展をご検討の方へ」「来場をご検討の方へ」の2ページ新設、計3ページを対象とした部分リニューアルとしました。
それぞれに必要な情報を整理し、申込みや来場判断につながる流れをつくることを目的に、この3ページの構成と導線を設計しました。
また、情報設計だけでなく、ASM OSAKAが長く積み重ねてきた歴史や信頼感、実際の展示会の活気までWeb上で伝えられるよう、デザインや写真の見せ方も大きく見直しています。
支援の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支援先 | 大阪府ミシン商業協同組合様 |
| 対象サイト | ASM OSAKA 公式サイト |
| 対応範囲 | 部分リニューアル(計3ページ):トップページのリニューアル、「出展をご検討の方へ」「来場をご検討の方へ」の2ページ新設 |
| イベント | 工業用縫製機器・関連機器等の展示会 |
| リニューアル前のサイトの強み | 開催概要・出展社・イベント・アクセスなどの情報が充実 |
| 主な課題 | 出展者・来場者など、目的の異なるユーザーの入口や導線が整理しきれていない |
| リニューアル方針 | 対象者別に情報を再整理し、申込み・来場判断までの流れを分かりやすくする |
| 主な支援内容 | 現状分析、情報設計、サイト構成、導線設計、デザイン、実装、スマートフォン最適化 |
| デザイン面での改善 | 展示会としての歴史・信頼感と、実際の会場の活気が伝わる表現へ刷新 |
01 リニューアル前のサイトの課題は、「情報が足りないこと」ではなかった
リニューアルにあたり、まずリニューアル前のサイトの内容を確認しました。開催概要、出展社一覧、イベント情報、アクセス、Instagramで発信される展示会の様子。ASM OSAKAについて知るための情報は、すでに多く揃っていました。
そのため、「情報が足りないから、コンテンツを増やす」ことが今回の出発点ではありませんでした。課題は、その情報の見せ方と順番です。
ASM OSAKAのサイトには、
- 出展を検討する企業
- 来場を検討する方
- イベントへの参加を目的とする方
など、異なる目的を持ったユーザーが訪れます。しかしリニューアル前のサイトでは、それぞれの入口が明確に分かれておらず、必要な情報を自分で探す場面が多くなっていました。

また、
- 出展申込み前の不安を解消する情報が分散している
- 次に何をすればいいのかが分かりにくい
- Instagramとホームページの役割が整理しきれていない
といった点にも改善の余地がありました。
つまり今回必要だったのは、情報を増やすことよりも、「誰に、何を、どの順番で見せるか」を整理し直すことでした。
02 ホームページを、「情報を置く場所」から判断を支える場所へ
実際にリニューアル前のサイトを利用した方から、欲しい情報をすぐに見つけづらいという声がありました。サイトを確認すると、出展者と来場者が同じメニューから情報を探す構成になっていました。
出展者が確認する費用・条件・申込方法と、来場者が確認する見どころ・出展企業・アクセスでは、必要な情報が異なります。この違いを入口とページ構成に反映することを、今回の改善方針としました。
そこで今回、ホームページを単なる情報掲載の場所ではなく、展示会について理解し、自分に必要な情報を見つけ、次の行動を判断するための場所として捉え直しました。
こうしたリニューアル前のサイトの課題や、出展者・来場者それぞれに必要な情報を整理し、改善方針、ページ構成、導線・デザインの考え方を事前の提案資料にまとめました。何のために、どのような構成でリニューアルするのかを整理したうえで、制作を進めています。

03 トップページで「出展したい方」「来場したい方」を分ける
今回のリニューアルで、大きく変更したのがトップページの入口です。出展を検討している企業と来場者では、必要な情報が異なります。そこで、新設した「出展をご検討の方へ」「来場をご検討の方へ」の2ページへ、トップページからそれぞれの目的に合わせて進めるよう導線を分けました。



出展をご検討の方
- 出展メリット
- 出展までの流れ
- 出展要項
- 料金・小間情報
- よくある質問
- 申込み・問い合わせ
来場をご検討の方
- 開催概要
- 展示会の見どころ
- 出展社
- イベント
- アクセス
トップページを訪れた段階で、「自分はどちらの情報を見ればいいのか」が分かる状態をつくることで、必要な情報までの距離を短くしました。
04 出展者向けページは、「申込む前の判断材料」を一つにまとめる
リニューアル前のサイトでは、出展メリットや準備の流れ、費用・条件など、申込み前に確認する情報が一か所にまとまっていませんでした。出展には費用と準備が伴うため、申込方法だけでなく、参加する価値と実施条件を確認できるページが必要だと判断しました。
そこで出展者向けページでは、出展メリット → 実績 → 出展までの流れ → 条件・料金 → FAQ → 申込みという流れで情報を整理しました。
出展する価値を確認したあとに、準備や費用を具体的に検討できるよう、メリット・実績を先に、流れ・条件をその後に配置しました。さらにFAQと申込案内を続け、判断材料の確認から申込みまでを同じページで進められる構成にしました。

05 来場者には、「行く理由」が伝わる構成へ
来場者向けの情報を確認すると、開催日や会場に加えて、出展企業やイベントなど、訪れる目的を検討できる材料が揃っていました。そこで、日時・場所の案内にとどめず、会場で見られる機器や参加できるイベントを確認できる構成としました。
展示会の見どころや出展企業、イベントを紹介し、その後にアクセスを案内することで、来場目的の検討から移動方法の確認へ進める順番に整理しました。

そこで来場者向けページでは、
- 展示会の見どころ
- 出展企業
- イベント
- アクセス
など、来場を検討する方が判断するために必要な情報を優先して整理しました。
出展者向けページが「出展する理由」を伝える場所なら、来場者向けページは、「ASM OSAKAへ行く理由」を伝える場所として設計しています。
06 Instagramで生まれた興味を、ホームページでより深い理解へつなげる
ASM OSAKAでは、リニューアル以前からInstagramで継続的に情報が発信されていました。会場の雰囲気や出展社、イベントの様子を伝える写真・動画の投稿がすでにあったため、ホームページは開催概要や出展条件、申込方法などを詳しく確認する役割に整理しました。
そのうえでホームページでは、
- ASM OSAKAとはどのような展示会なのか
- どんな企業が出展するのか
- 出展することでどんなメリットがあるのか
- どんな見どころやイベントがあるのか
- いつ、どこで開催されるのか
- 出展や来場のために何を確認すればよいのか
といった情報を、より詳しく、網羅的に確認できるようにしました。
Instagramで興味を持ってもらい、ホームページでASM OSAKAについてより深く理解してもらう。この役割分担に合わせて、トップページから出展者向け・来場者向けの詳細情報へ進む導線を設けました。
07 ASM OSAKAらしい信頼感と、実際の展示会の空気が伝わるデザインへ
今回のリニューアルでは、情報や導線の整理だけでなく、デザインについても大きく見直しました。リニューアル前のサイトには、イベントらしい賑やかさや親しみやすさがありました。
ASM OSAKAには、長く開催されてきた歴史と、多くの企業が参加してきた実績があります。こうした展示会としての背景も伝えるため、ロゴカラーを活かしながら、見出し・写真・案内ボタンを分けて見せるデザインに変更しました。
開催情報や申込条件には文字で正確に伝える必要がある内容も多いため、余白を取り、文字サイズ・行間・コントラストを確保する方針で設計しました。PCとスマートフォンそれぞれで、情報と案内ボタンの配置を調整しています。
一方、リニューアル前のサイトでは、会場の様子や来場者、出展ブースなど、実際のイベント風景が伝わる写真は多くありませんでした。そこで、会場の規模や機器の展示、来場者と出展企業の交流を具体的に示すため、過去の開催時に撮影された現場写真をトップページと新設した2ページに取り入れました。

機器だけが写った写真に加え、人が集まる会場や、実機を前に説明を受ける場面も掲載しています。「実際に足を運ぶと、どんな展示会なのか」を、開催情報とあわせて確認できるようにしました。
08 情報・導線・デザインから、展示会そのものの価値を伝え直す
今回の出発点は、情報が掲載されていても、利用者が欲しい情報をすぐに見つけづらいという課題でした。さらに、出展者募集開始まで3か月を切っていたため、限られた期間で入口と判断材料を整える必要がありました。
そのため、トップページで対象者別に導線を分け、出展者向け・来場者向けの2ページを新設しました。Instagramで発信されていた会場の雰囲気を活かしつつ、ホームページには条件や申込方法を確認する役割を持たせ、現場写真と読みやすい情報配置を組み合わせています。
それぞれを別々に考えるのではなく、「ASM OSAKAという展示会の価値を、Web上でどう伝えるか」という一つの目的から、トップページと新設した2ページを組み立てています。
ASM OSAKAのリニューアルは、情報・導線・デザインをそれぞれ見直しながら、展示会そのものの魅力を、より伝わりやすい形へ整えた支援事例です。


