
ご相談いただいたのは、オープンから約2週間後。開業直後の混雑や商品・サービスへの指摘が重なり、Googleマップの口コミ評価は1.9となっていました。
一方、オーナー様へのヒアリングや口コミへの返信、実際の店舗訪問から見えてきたのは、指摘された課題をすでに受け止め、改善を進めている店舗の姿でした。
そこで最初に取り組んだのは、単に口コミ件数を増やすことではありません。
現在の店舗体験が正しくWeb上にも蓄積される仕組みをつくること。そして、評価改善だけで終わらせず、来店されたお客様とその後も関係を続けられる接点を同時に整えることでした。
口コミ投稿への導線と公式LINEを整備し、その後はInstagramやGoogleマップでの情報発信へ支援範囲を拡大。
3か月の支援期間で、Googleマップの口コミ評価は1.9から3.9へ変化し、公式LINEには250人以上が登録しました。
この記事では、低評価という目の前の課題をどう捉え、なぜ口コミとLINEを同時に整えたのか。その後、どのように新規来店への施策へ重点を移していったのかをご紹介します。
支援の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 支援先 | 油そば専門店 天照様 |
| 事業 | 飲食店・油そば専門店 |
| 支援開始時の状況 | 開業から約2週間。Googleマップの口コミ評価が1.9 |
| 初期の確認・分析 | 口コミ内容と返信、店舗の改善状況、実際の来店体験、競合・商圏、初回来店時に必要な情報 |
| 優先した課題 | 改善後の店舗体験とWeb上の評価とのギャップ解消 |
| 実施した取り組み | 口コミ投稿導線、公式LINE・ショップカード、Instagram運用設計、Googleビジネスプロフィール運用 |
| 確認できた変化 | Googleマップ評価1.9→3.9、公式LINE登録250人以上 |
| 支援期間 | 3か月 |
01 口コミ評価1.9。まず確認したのは「今の店舗の状態」
天照様がオープンしたのは4月1日。ENoneからDMでご連絡したことをきっかけに、4月14日に初めてお話を伺いました。
当時、特に大きな課題となっていたのがGoogleマップの口コミ評価です。開業直後の混雑や対応、商品・サービスについての指摘が重なり、評価は1.9。Google検索やマップで店舗を知った方がこの評価を見れば、実際に来店する前に候補から外してしまう可能性があります。
ただし、「評価が低いから、口コミを増やせばいい」とは考えませんでした。もし低評価につながった原因が今も残っているのであれば、先に改善するべきなのは口コミではなく、店舗体験そのものだからです。
そこで最初に確認したかったのは、低評価の原因となった状態が、現在も続いているのかという点でした。
02 店舗では改善が進んでいた。Web上の評価とのギャップを課題と捉える
店舗を訪問する前から、印象に残ったことがあります。それは、低評価の口コミに対しても、オーナー様が一件ずつ内容を受け止め、丁寧に返信されていたことです。ヒアリングでも、開業直後に寄せられた指摘について、すでに改善を進めていることが分かりました。
4月22日には実際に店舗を訪問。料理、接客、店内の様子を自分でも確認しました。たとえば明太子の管理について寄せられた声に対しても、提供方法はすでに見直されていました。

ここで見えてきたのが、「現在の店舗体験」と「Web上に残っている評価」のギャップです。
店舗では改善が進んでいる。しかし、改善後に来店した方の体験がWeb上に十分蓄積されていなければ、過去の評価だけが長く残ります。
そこで、最初の改善テーマを、現在のお客様の体験が、自然な形でWeb上にも反映される状態をつくることと定めました。

03 口コミとLINEを同時に整えた理由
口コミは、評価を上げるためにお願いするものではないと考えています。Googleのポリシーでも、評価や投稿内容を誘導したり、満足した方だけを選んで肯定的な口コミを依頼したりすることは禁止されています。
一方、実際に店舗へ足を運び、料理や接客、お店の雰囲気を確認した時点で、正しい形で口コミが増えれば、評価は上がるという確信がありました。
必要なのは高評価をお願いすることではなく、実際に来店された方が、その体験を率直に残せる機会を増やすことです。そこで、Googleの口コミ投稿用QRコードを用意し、会計時に自然にご案内できる導線を整えました。
ただ、ここでも口コミだけを見ることはしませんでした。
評価改善と同時に、将来の来店動機をつくる
今回の来店をきっかけに口コミを残していただいても、それだけではそのお客様との接点は終わります。そこで同じタイミングで整えたのが、公式LINEです。
目的は、現在の評価を改善すると同時に、将来もう一度来店していただく理由を今のうちにつくること。
口コミには、これからお店を探す方に現在の店舗体験を伝える役割があります。LINEには、一度来店してくださった方との関係をその後も残す役割があります。整理すると、役割はこうです。
| 接点 | 主な役割 |
|---|---|
| Google口コミ | 現在の店舗体験を、これから来店を検討する方へ伝える |
| 公式LINE | 一度来店したお客様との接点を残し、再来店につなげる |
つまり、新しいお客様に選ばれるための取り組みと、既存のお客様にもう一度来ていただくための取り組みを、同時に整えるという判断でした。
口コミ投稿用とLINE登録用のQRコードを一枚にまとめたショップカードを制作。

店内にもLINE登録用のPOPを設置し、公式LINEには来店回数に応じた特典を設定したデジタルショップカードを用意しました。

04 商圏と初めてのお客様の視点から、情報発信を設計する
口コミとLINEの整備と並行して、Instagramについても支援しました。ただし、最初から「何を投稿するか」を考えたわけではありません。
まず確認したのは、次の4つです。
- 周辺の競合店
- 商圏の特徴
- 想定される利用シーン
- 初めて来店する方が知りたい情報
その内容をもとに、Instagram運用の設計資料を作成しました。

「おいしそう」の先にある来店判断まで考える
飲食店の発信では、料理がおいしそうに見えることは重要です。ただ、それだけで来店が決まるとは限りません。
駐車場はあるのか。営業時間は何時までなのか。どうやって食べる料理なのか。一人でも入りやすいのか。どんな楽しみ方があるのか。
そこで、「おいしそう」で終わらず、「自分も行けそう」「食べてみたい」まで進めることを情報発信の基準にしました。
油そばの食べ方を動画や投稿で紹介。トッピングや味変によって、自分好みに楽しめることも伝えました。
営業時間、アクセス、限定メニュー、LINE特典など、来店前に確認したい情報はハイライトへ整理しています。

05 評価改善後は「新しいお客様との接点」へ重点を移す
支援を続ける中で、口コミ評価には改善が見られるようになりました。そこで月次の振り返りで考えたのが、「今、次に解くべき課題は何か」ということです。
オーナー様から伺ったのは、加古川の商圏を考えると、まだ新しいお客様に十分来ていただけていないという実感でした。
評価改善が進めば、最初の課題に同じだけ力をかけ続ける必要はありません。課題が変われば、優先順位も変わります。そこで支援の重点を、口コミ改善から新規来店につながる情報発信へ移しました。
InstagramとGoogleマップを活用し、油そばの楽しみ方や、支援当時提供されていた明太子・高菜の無料食べ放題、こだわりの生卵など、天照様ならではの魅力を発信。Googleビジネスプロフィールでも、現在の店内や料理の状態が分かるよう情報を更新しました。
06 月に一度、数字と現場を持ち寄って次の判断をする
3か月の支援期間中は、毎月1回店舗を訪問しました。月次ミーティングで行ったのは、単なる施策報告ではありません。
前月までの取り組みをレポートで確認しながら、次の点を一緒に整理しました。
- Web上では何が変わったか
- 店舗ではどんな反応があったか
- オーナー様は今何を感じているか
- 次にどこへ力を入れるべきか
Web上の数値だけでは、店舗で起きていることのすべては分かりません。反対に、現場の感覚だけでは変化を客観的に捉えにくいこともあります。
そのため、データと現場の情報を両方見ながら、次の判断につなげることを重視しました。
07 3か月で確認できた変化
支援期間中に確認できた主な変化は以下です。
| 指標 | 支援開始時 | 3か月後 |
|---|---|---|
| Googleマップ口コミ評価 | 1.9 | 3.9 |
| 公式LINE登録者数 | — | 250人以上 |
Googleマップでは口コミ投稿が増え、評価は1.9から3.9へ変化しました。ただし、すべてが高評価だったわけではありません。新たに寄せられた指摘についても、店舗側ではその内容を受け止め、改善を続けています。
この変化は「口コミをお願いしたから」だけで生まれたものではありません。店舗での改善と、その後のお客様の体験がWeb上に蓄積されたこと。その両方が重なった結果だと考えています。
公式LINEには3か月で250人以上が登録。オーナー様からも、LINEを始めてから、リピーターが増えたと感じているというお話をいただきました。
再来店についてはオーナー様の実感によるものですが、支援終了後も活用できる顧客接点を残すことができました。
08 目の前の課題を改善し、その先につながる土台を残す
天照様への支援は、最初から「まず3か月」という期間を決めて始まりました。スタート時に目立っていたのは、1.9という口コミ評価です。ただ、支援を進める中で見ていたのは、その数字だけではありません。
店舗の改善状況を確認する。現在の体験が口コミとして蓄積される仕組みをつくる。同時にLINEで顧客との接点を残す。
評価改善が進めば、新しいお客様への情報発信へ重点を移す。そして毎月、現場の状況と結果を見ながら次に何をするかを考える。
課題は、事業の状況によって変わります。だから、必要な施策も変わります。
目の前の数字だけに反応するのではなく、現場で何が起きているのかを理解し、その時点で何を優先するべきかを考える。天照様への3か月の支援は、ENoneが大切にしているその考え方が、分かりやすく表れた事例になりました。

